ピアサポートとは
 ピアサポートとは、同じ病気の仲間による支え合いのことをいいます。ここでは乳がん患者会におけるピアサポートについて考えていきます。
1) 乳がん患者会へ入ろうかどうか迷っている人へ
2) 乳がん患者会で企画運営する人へ
 


  乳がん患者会へ入ろうかどうか迷っている人へ
 現在全国に約170の乳がん患者会があり、さまざまな活動をおこなっています。ほとんどの会で定期的におしゃべり会や学習会、相談会などを実施しており、そこで自然な形でピアサポートが行われています。メーリングリストをもつ会もあり、実際に出向かなくてもメンバーと情報交換ができます。
 会の中心メンバーの多くは40代から60代ですから、同じ年代の人に会うためには少々準備が必要でしょう。定例会などに参加するときは、事前に電話やメールで「若い人の話が聞けますか、若い人と話ができますか」と問い合わせてみるとよいかもしれません。
 以前からの友人たちに病気のことを話したけれど、お互いに気を使ってしまって気持ちの上で距離ができてしまったとか、病気のことをうまく話せそうもないので、食事やお茶に誘われても断ってしまう、ということを多くの若い患者さんが経験しています。そのようなときに患者会の仲間は、多くを話さなくても気持ちを分りあえることから、安堵感を与えてくれます。たわいない話をするだけでも、エネルギーが充電されるでしょう。
 特に若い患者さんにとっては、仕事や恋愛のことなど今直面していることを先輩患者さんがどのように乗り越えてきたか、その話を聞くこと、その姿をモデルとして見ることは大きな支えとなります。また、病院では教えてもらえなかった情報や実践的な工夫、例えばウィッグのことや会社で誰にどのように病気のことを伝えるかなどは、参考になる点も多いでしょう。
 何度も会に参加している間に、サポートを受ける側から今度は自分がサポートをする立場にもなっていることに気付くでしょう。新たに若い乳がん患者さんが入会してきて、あなたと同じような経験をして悩み不安に感じているときに、既にいろんなことを乗り越えてきたあなたの姿は、ピアサポートになっているのです。
■ 患者会に入る前に知っておきたいポイント
前もって電話やメールで問い合わせて、同年代の参加者がいるか聞いてみましょう。
まず見学して、入会は少し考えてから、というくらいの気持ちで参加しましょう。何度か参加することで会の良さがわかることもあります。
自分のことを話さず聞くだけの参加でも良いのです。
自分に合わないと思ったら、無理して続けなくても大丈夫です。
グループではなく個別に話を聞いてくれる場合もあります。
あなたのニーズの全てが患者会で満たされるとは限りません。
専門職によるサポートが適していることもあります。
 


  最後に
 患者会が皆さんのためにいろいろなプログラムを提供できるのは、会の運営や企画に携わる人達がいるからです。自分の病気と闘いながら、会の雑務をはじめとして仲間のサポーターとしてまでいくつもの役割を担っています。そのことをぜひ心に留めておいていただきたいと思います。あなたにとって患者会が役立つサポーターになることを願っております。


  乳がん患者会で企画運営する人へ
 

 

 




  若い仲間をサポートするために
はじめに
若年乳がん患者さんのニーズ
今後に向けて
患者会の中でのピアサポートの意義
患者会にできること
全体のまとめ(PDF)


  はじめに
 ここでは、乳がん患者会の代表やコアメンバーで「若いメンバーに何らかのサポートを必要ではないか」と考えている人と一緒に、その方法についてヒントや工夫を考えていきます。
患者会の中には、若い患者さんからの相談を受け、この年代特有の不安や悩みに気づき、そのためのプログラムを実施しているところもあります。若い患者さんによるグループが会の中に形成されているところもあります。このような会には若い患者さんがのびのびと活動することができる仕組みがあるために、いろいろな年代のメンバー同士が交流することで意見交換も活発になり、さまざまなプログラムが実施され、会全体が生き生きとしています。




  患者会の中でのピアサポートの意義
 ピアサポートとは、仲間同士による支え合いのことです。多くの若い患者さんたちは、病院では同じような世代の患者さんに会えないために、交流手段としてはSNSを最初にあげます。しかし、得られる情報も限定されますから、実際に会って話ができる場所を提供する患者会の存在は大きな意義があります。「患者会に来てみたら同年代の人が活動しているのを知って、とてもうれしかった」「同じような年代で自分より少し先を歩んでいる人と話ができて、安心した」「ここまで治療を続けられたのは、仲間がいたおかげだと思う」などのコメントは、患者会の中でのピア(同じ仲間による)サポートの効用について20代から30代の患者さんが語った言葉です。




  若年乳がん患者さんのニーズ
 現在乳がん患者会に参加している世代の多くは、50代から60代です。家庭や社会、地域で重要な役割を果たし、生活基盤がある程度確立している世代とも言えるでしょう。これに対し、若年乳がんと定義される20代から30代半ばの人たちは、将来に開かれていますが多くの課題を抱える不安定な世代であるとも言えます。出会い、結婚や妊娠・出産、仕事や転職、などいくつかの役割を担い始めるときですから、40代から50代で乳がんになった、いわゆる人生の先達とは抱える不安や悩みが異なるのは当然です。




  患者会にできること
 既に現在若い患者さん向けのサポートプログラムをもつ会の例と、若い患者さんが会にアクセスしたときのヒントをまとめましたので、参考にしてみてください。




  今後に向けて
 いくつかの乳がん患者会で、若い乳がん体験者の方々へのピアサポートのための活動が、既に始まっています。スタッフや財源は限られていますが、自らの乳がんという体験から得た創意工夫を仲間と交換するために取り組んでいます。このサイトにアクセスしてくださったことからピアサポートが始まります。若い患者さん向けのピアサポートに関し、「自分の会ではこんなことを計画している」「こんなことで行き詰っている」など何かご意見があればお知らせください。
なお、本サイトを制作するに当たり、乳癌患者友の会きらら(広島県)、虹の会(大阪府)、マンマの会パセリ(宮城県)の代表及びメンバーの方々にご協力いただきました。深く感謝いたします。
▲検討会をしている様子




  全体のまとめ
I こころとくらしの課題について
II 仲間同士のサポートについて 〜患者会の中で
※詳細はこちらからご覧ください。